野毛発!!B級タウン誌の真実

創刊の辞

 ハマのジャーナリズムはトロいから野毛がやります。生き馬の目をぬくB級タウン誌の真実にご期待ください。みなと横浜の洒落た舞台に、毛の字がつくのは野毛だけであります。したがって他は不毛であり、野毛の 毛の字が勝因であります。全国の志のあるご町内の皆様、このようにおやりください。

一九九二年 三月 B級タウン誌「ハマ野毛」編集部一同


ミナトの女

二号の辞

 港町では海のあちらの港に向きあって国際性が、内陸の川に沿って民族性が、海風を丘にぶつけて人情が生まれるんだ。三つなければだめなんだ。人情がないと舶来物は翻訳文化や処理済みの情報として通りすぎて、身につかねえんだ。 今号は芸さらい、人さらいの野毛の直取引をごらんにいれるんだ。いいと思ったら、さらってくるんだ。モノを浜風にさらして磨くんだ。港の文化ってのはそうやってつくるんだ。

一九九二年 六月末日 B級タウン誌「ハマ野毛」編集部一同


三波春男 大道芸は大衆芸能の原点!

三号の辞

  内弁慶は野毛の美徳といわれているが、そう呑気にかまえられちゃいられないとなれば、撃ってでる。小さな弁慶達が大道芸ノウハウ七ツ道具を背負って、ケツメドのような郷関から出た。全員生還。 エネルギーは出たり入ったりするものだ。出たり入ったりするときに、ピンポイントの穴をとおる。ギュッとちぢまり、がばっとふくらむ。だから古人は言った。大道肛門。ちがった、大道無門。

一九九二年 9月末日 B級タウン誌「ハマ野毛」編集部一同


B級国際都市を、歩く

四号の辞

 自動車がするセックスをカーセックスといいます。オスの車どうしが犯すあやまちをオカマをほるといいます。車はカーセックスによって増殖しますが、近ごろカーエイズというのもふえていますので、車のフロントには気をつけましょう。

一九九三年春B級タウン誌「ハマ野毛」編集部一同


野毛のしょんべんおやじ

五号の辞

 美は乱調にあり、と言ってもねえ。野毛から見た野毛は乞食がテーマだ。野毛から見たヨコハマは元気な人を数人、野毛から見た世界は面白けりゃああちこち鼻をつっこんで下さいと、編集人の頭脳にはヘーゲル哲学大系にも比すべき壮麗な覗きの多重世界があったのだが、蓋をあけたらまたこれだ。このB級タウンに充満するエネルギ−の正体はなんだろう。 美は乱調でいいからさ、野毛を野毛たらしめるキュッとしまった理論はないかと探すと、あった。しょんべんおやじの像建白論だ。アムステルダムの小便小僧にも、コペンハーゲンの人魚にも、しょんべんおやじなら勝てる。ゆえにこれを五号の辞とする。

一九九三年 九月十日 B級タウン誌「ハマ野毛」編集部一同


野毛大道芸と芸人さん

廃刊の辞

 いきなりキンタマです。多士済々の執筆陣のだれもがこれには勝てない。このくったくのなさ、明るさ、世に益することのなさ、そのまんま野毛が袋に入ったものであります。このキンタマは昨年十一月に嫁さんをもらった新品です。あ、そうそう、ハマ野毛は本号で廃刊します。金の切れ目が縁の切れ目。

一九九四年 三月末日 B級タウン誌「ハマ野毛」編集部一同


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